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音楽院日記

2024.01.01

音楽院日記

サックス 岡村麻美先生

あけましておめでとうございます、サックス講師の岡村麻美(おかむらあさみ)です。

 

めでたき新年一発目の日記を担当させていただくことになりましたが、思いがけず長い文章となってしまいまして…!
ゆっくりお読みいただければと思います。

 

さて、最近はラジオにハマっています!
今はリアルタイムでなくてもポッドキャストなどで何度も聴くことができるので便利ですよね。

 

現在、私がヘビロテして聴いているのが【BOOK READING CLUB】という文学系ラジオ

 

ライター宮崎智之さん・メディアディレクター今井楓さんがパーソナリティで、本が好きな人はもちろん、普段あまり読まないけど何か読んでみたいな〜という人でも楽しめる最新人気番組です!

 

今回は文学(≒芸術)について宮崎さんが紹介してくれたエピソードにとても心を打たれたので、少しだけ引用させていただきます。
(ラジオのリンクも下に貼りましたので、ぜひぜひ本家を聴いてほしいです!)

 

福田恆存(ふくだつねあり)という、大正生まれの作家の書いた評論『一匹と九十九匹と』についての話です。
まず、聖書の有名な話を用いて、ある問いかけがされます。
「あなたが百匹の羊を持っていたとして、もし一匹の羊が迷ってしまったら、残りの九十九匹を待たせてその迷子の羊を探すだろうか、それとも一匹を犠牲にして九十九匹の羊を優先するだろうか」
(トロッコ問題のような、いつの時代も人を悩ませる問題ですね…)

 

そこで福田はこう書いたそうです、
「九十九匹を守るのは政治の役目であって、迷ってしまった一匹を守れるのが文学である」

 

これをラジオで聴いて、視界が一気にひらけたというか、自分こそが迷える一匹だったし、迷ったときに守られていたんだということに思い至ることができました。
(今回は文学とされていますが音楽や芸術全般に当てはまると感じるので、以下そのような文脈でお話します。)

 

コロナを境に音楽のあり方は随分と変化していて、実はずっと迷いがありました。
ライブもレッスンも控えよう、その前にもっと必要なことがあるから音楽は不要不急じゃないのかという雰囲気…

 

不要不急なものでは決してないと信じているものの、その確固たる理由みたいなものをどうしても上手く言葉にできなくていつも答えを探し続けていました。

 

そんなときラジオでこの評論の話を聞いて、見つけたかったのはこれだ!!と思いました。

なんだか上手くいかない日、何をしても気分が落ち込む日、気がつけば一人はぐれてしまったような気持ちになることは多かれ少なかれきっと誰にでもあることでしょう。

 

もし誰かが迷える一匹になったとしたら。
よく寝てよく食べるとか、病院にかかるとか、そういった効力とはまた違う力、
音楽を聴いたり演奏したりすることでちょっと気が晴れるような、そんなレッスンができたらいいなと感じました。

 

それが私の今年の目標です!

 

さて、熱く新年の抱負を語ってしまいましたが、この『一匹と九十九匹と』の話をしっかり手に握りしめ、地道に実行していきたいです。
みなさま今年もどうぞよろしくお願い致します!

 

この話の引用元ラジオ【BOOK READING CLUB】はこちらのリンクから
https://podcastranking.jp/1709647009

 

そして文中に出てきた福田恆存の評論ですが、今のところ単行本しかなく私もこの原文は読めていません…。
原文にあたることも今年の目標のひとつにしよう!