2022.05.10
音楽院日記5月の日記を担当させて頂きます、声楽講師の二宮周平です。
普段の活動は講師をする他に、オペラなどの公演に出演しております。
4/26にオペラ『ファルスタッフ』のタイトルロールで出演しました。(この日記を書いている時はまだ出演日前なのですが)
『ファルスタッフ』は、ヴェルディが79歳の時に人生の集大成として作曲した最期のオペラです。
内容などを細かく書きますと長々としますので、興味のある方は便利なウィキペディアなどご参照なさって頂くとして、、、今日はオペラの役柄を演じることついて少しお話します。
ファルスタッフは、傲慢な太っちょ老騎士という設定の役柄です。太ってデップリとしたお腹があるのは幸せに暮らしてきた証!と言わんばかりに、ワガママで強欲、好き放題に生きてきたこの男、なかなかの難役でした。
何かを演じる際に、まず自分の経験を頼りに役を模索します。しかし、僕の声の声種がバス・バリトンという位置づけであるため、人殺しや裏切り者、そして今回のように老人の役に当てはまります。何せ実体験がないことばかり、、、自分の浅い人生経験では埋めようのない壁が毎回襲ってきます。
そうした時に、映画、ドラマ、漫画、本、ニュースなど、外からのイメージを自分の中に引っ張ってくるという作業が不可欠です。
今はネットなどに情報が溢れかえっているため便利な世の中になりました。(もちろん生の演奏会でしか得られない奥行き感、臨場感は格別ですが)
音楽を始めた頃には、よく『楽譜に全てが書いてあります』と先生にご指導頂きました。しかし、それを読み解く力がなかったりでイメージがない場合は、外からの知識から学ぶことが非常に重要だと思います。
芸事は、何事もまずは真似事から。
なにしろオペラは楽譜のない頃から口で伝えられてきた伝統です。
いろいろなものに触れ、それを真似していくうちに自分のスタイルが確立していくと思います。これを書いている時には、まだ本番のファルスタッフが果たしてうまく成功したかどうか?はわかりませんが、今も日々練習に励んでおります。